幕末の偉人

大鳥圭介とは?医者から幕府陸軍を作り箱館まで戦った男

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大鳥圭介とは?医者から幕府陸軍を作り箱館まで戦った男
大鳥圭介 肖像(1833〜1911) / 出典: Wikimedia Commons Public domain

医者になろうとしていた男が、幕府陸軍の指揮官になりました。大鳥圭介。そして五稜郭で降伏し、明治を四十年以上生きています。

目次

大鳥圭介とは何をした人か

大鳥は、幕臣であり、洋式陸軍の指揮官であり、明治の技術官僚です。

その生涯は三つに折れます。

第一に、洋式兵書の翻訳者として。 オランダ語の兵書を訳し、幕府に西洋の軍制を伝えました。

第二に、幕府陸軍の指揮官として。 フランス式に訓練された伝習隊を率い、戊辰戦争を宇都宮から会津、そして箱館まで戦い抜きました。

第三に、明治の技術教育者として。 赦免後、工部大学校の校長などを務め、技術者の養成に当たりました。

天保 4 年(1833 年)に生まれ、明治 44 年(1911 年)に没しました。

大鳥圭介の生い立ちと蘭学

大鳥は、播磨国(現在の兵庫県)の村医者の子として生まれました。武士ではありません。

彼が志したのは医学です。大坂の緒方洪庵適塾で蘭方医学を学びました。福沢諭吉橋本左内と同じ塾です。

しかし大鳥が伸びたのは、医学よりもオランダ語そのものでした。

語学ができる人間は、当時きわめて貴重でした。西洋の技術書を読める人間が足りていなかったのです。

大鳥は兵書——軍事の教科書の翻訳に向かいます。歩兵の隊列、砲の運用、築城。これらの知識は高島秋帆や江川英龍、佐久間象山によって導入され始めていましたが、原書を読める専門家はまだ少数でした。

幕府はこの能力を必要としました。農家の子が、幕臣に登用されます。

大鳥圭介と伝習隊

慶応年間、幕府はフランス式の軍制改革に着手します。フランスから軍事顧問団を招き、洋式の歩兵部隊を編成しました。

この訓練を受けた部隊が伝習隊です。幕府陸軍の中で最も新しく、最も強い部隊でした。

大鳥はこの伝習隊を率いる立場になります。翻訳者から、実際の指揮官へ移ったわけです。

大鳥圭介の戊辰戦争(宇都宮から箱館まで)

慶応 4 年(1868 年)、戊辰戦争が始まります。

大鳥は降伏せず、戦い続けました。

宇都宮で戦い、日光を経て、会津へ。会津が落ちると北へ向かい、仙台から榎本武揚の艦隊に乗って蝦夷地へ渡ります。

そして箱館の五稜郭です。

明治 2 年 5 月 18 日——西暦では 1869 年 6 月 27 日、五稜郭は開城しました。大鳥は捕らえられ、投獄されます。

同じ戦線にいた土方歳三は箱館で戦死しました。大鳥は生き残りました。

大鳥圭介の赦免後の四十年と最期

明治 5 年(1872 年)、大鳥は赦免されます。

そして新政府に登用されました。

理由は明快です。技術者が足りないからです。洋式軍制を理解し、外国語が読め、実際に部隊を動かした経験を兼ね備えた人間は新政府側にも少なく、旧幕臣の専門家が重用されました。

大鳥が進んだのは、軍ではなく技術教育でした。

工部省に入り、工部大学校の校長を務めます。工部大学校は、のちに東京帝国大学工学部となる学校です。日本の工学教育の出発点にあたります。

さらに彼は学習院の院長も務め、清国駐在の公使にもなりました。

明治 44 年(1911 年)6 月 15 日に没しました。満 78 歳です。

箱館で降伏した幕府軍の指揮官が、明治の終わりまで生きて、日本の工学教育を作ったことになります。

大鳥圭介という生き方

大鳥の生涯は、幕末の人材の流れをよく示しています。

村医者の子が、蘭学で身を立て、語学で幕臣になり、軍人になり、敗れて投獄され、赦されて技術官僚になった。

身分ではなく技能で動いたということです。そしてその技能は、幕府が倒れても価値を失いませんでした。

「勝った側」も「負けた側」も、使える技術者は使う。明治初期の日本は、そういう状態でした。

大鳥圭介の年表

出来事
1833 年 4 月 14 日播磨国の村医者の子として生まれる
1850 年代大坂の適塾緒方洪庵に蘭方医学を学ぶ
1850〜60 年代洋式兵書の翻訳で幕府に登用される
慶応年間フランス式に訓練された伝習隊を率いる
1868 年戊辰戦争で宇都宮・日光・会津を転戦
1868 年末榎本武揚の艦隊で蝦夷地へ渡る
1869 年 6 月 27 日五稜郭開城。捕らえられ投獄(明治 2 年 5 月 18 日)
1872 年赦免され、新政府に登用される
明治期工部大学校の校長、学習院院長、清国駐在公使などを務める
1911 年 6 月 15 日没。満 78 歳

同じ箱館で戦ったのは榎本武揚土方歳三、五稜郭そのものは五稜郭で扱っています。

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